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アメリカでルーズヴェルト批判がタブーだった理由

アメリカは一枚岩ではない! インテリジェンス・ヒストリー③

「日本は悪い国だ」という東京裁判史観はルーズヴェルト大統領のせいだった!? 『日本は誰と戦ったのか』 を上梓した、江崎道朗氏が日米開戦の新たな事実を語ります。 

ウィーク・ジャパン・ポリシーVS.ストロング・ジャパン・ポリシー

フランクリン・ルーズヴェルト

 アメリカは一枚岩でありません。

 以前、アメリカを代表するシンクタンク、ヘリテージ財団においてアメリカ政治史の専門家であるリー・エドワーズ博士らから、「ウィーク・ジャパン・ポリシーとストロング・ジャパン・ポリシーのことを知っているか?」と聞かれたことがあります。

「それは何か?」と尋ねると、「そんなことも知らないで、外交を研究しているのか」とずいぶん怒られました。
 
 要は、アメリカには、対日政策について大別して二つの見方があるというのです。
 一つは、「アジアの紛争は日本が引き起こしているのだから、日本を弱くしたほうがアジアの安定につながる」と思っているグループ。これは戦前のルーズヴェルト民主党政権、ソ連のスターリンなどの考えで、「ウィーク・ジャパン(弱い日本)派」と言います。

 一方、「ストロング・ジャパン(強い日本)派」というのは、「アジアの紛争はソ連(現在では中国やロシア)が引き起こしていたのであって、ソ連の防波堤として日本の行動を理解すべきである」と考えるグループです。これはハーバート・フーヴァーという共和党の大統領やロバート・タフト上院議員、アメリカ・ファースト・コミュニティといった国民運動団体に代表されます。

 そして、「日本は侵略を行った悪い国だった」という東京裁判史観は基本的に、「ウィーク・ジャパン派」の歴史観なのです。正確に言えば、日米戦争を戦ったルーズヴェルト民主党政権の「ウィーク・ジャパン派」の対日政策を正当化する歴史観なのです。

 なぜ正当化しなければならなかったかと言えば、当時の野党の共和党には、「ストロング・ジャパン派」の政治家が多く、「アメリカの敵はソ連であって日本ではない」と考えていたからです。

 こうした野党の共和党の批判に反論するためにも、民主党のルーズヴェルトとそのあとを継いだハリー・トルーマン大統領は、「ソ連と組んで日本を敵視した対日政策は正しかった」と弁明しなければならなかったのです。

 その弁明のポイントは、「日本は悪い国だ」というレッテル貼りです。よって「第二次世界大戦でその悪い日本に勝ち、野蛮なナチス・ドイツを倒したルーズヴェルト大統領は偉かった」という歴史観を作り上げたのです。

 このように戦後の国際社会に「日本は悪い国だ」というプロパガンダを撒き散らす原因を作った民主党のルーズヴェルト大統領とはいかなる政治家だったのでしょうか。

 
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江崎 道朗

えざき みちお

評論家。専門は安全保障、インテリジェンス、近現代史研究。



1962年生まれ。九州大学卒業後、月刊誌編集、団体職員、国会議員政策スタッフなどを経て、2016年夏から本格的に評論活動を開始。月刊正論、月刊WiLL、月刊Voice、日刊SPA!などに論文多数。



著書に『コミンテルンの謀略と日本の敗戦』(PHP新書)、『アメリカ側から見た東京裁判史観の虚妄』(祥伝社新書)、『マスコミが報じないトランプ台頭の秘密』(青林堂)、『コミンテルンとルーズヴェルトの時限爆弾』(展転社)ほか多数。



 


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